熱が大敵であるコンピュータ機器の熱暴走を防ぐ方法とは

最終更新日:2025年6月26日
本記事は2023年9月15日に公開された記事を再編集しております。
パソコンやスマートフォン、サーバといったコンピュータ機器は、精密な電子パーツで構成されているため、熱の影響を非常に受けやすい機器です。特に内部温度が上昇しすぎると、動作が不安定になり、場合によっては故障やデータ損失につながるリスクがあります。温暖化の影響もあり年々熱くなる夏場の環境変化にも注意をはらいたいところです。熱暴走は性能低下だけでなく物理的な部品の劣化にも直結するため、トラブルが発生する前に正しい知識を身につけておくことが重要です。
この記事では、コンピュータ機器が熱を帯びることで起こるトラブルや、その原因、具体的な防止策および緊急時の対処法を解説します。
目次
コンピュータ機器が熱くなってしまうとどんなことが起こるのか
サーバやストレージ、パソコンといったコンピュータ機器が高温状態に陥ると、処理速度の低下や突発的な再起動、最悪の場合はハードウェアの故障へと繋がる可能性があります。
まず熱によってコンピュータの各パーツの働きが制限されると、アプリケーションの動作が重くなったり、画面の切り替えに時間がかかる場面が増えるといったパフォーマンスの低下が起こります。こうした状況が長く続くと、作業効率が著しく落ちるだけでなく、内部部品への負荷も高まってしまいます。
続いて、温度の上昇からシステムを守ろうと働く保護機能によって、突然のシャットダウンや再起動が発生することがあります。一度ならまだしも、頻繁に起こるようになるとハードディスクへのアクセス途中での電源断など、データの損失リスクも増大します。
さらに、長期的に高温状態が続くとハードウェア自体が劣化しやすくなるといわれています。半導体などの部品は熱に弱く、温度が高いほど寿命が短くなる傾向があります。何度も高温状態が繰り返されるとパーツの寿命を早めてしまうことになります。
コンピュータが熱くなる原因
コンピュータが熱暴走を起こしてしまう原因はどこにあるのでしょうか。
コンピュータのハードウェア面の問題から、ソフトウェア面での過負荷まで、実は複数の事象が同時に影響しているケースも多く見受けられます。 特に最近の機器には高性能なCPUやGPUなどのパーツが搭載されるため、発熱量が増加する傾向にあります。性能が高いだけではなく、それに見合った冷却環境を整備しないと、熱暴走を引き起こすリスクが高まるのです。
また、設置場所や使い方にも温度上昇のリスクがあります。どれほど優れたパーツを搭載していても、熱が溜まりやすい空間や直射日光が当たる場所で使用すると、予想以上に温度が上がってしまいます。
コンピュータが熱くなる主な要因を4つ紹介します。
コンピュータ内部の電気摩擦
コンピュータを構成する部品は、動作時に電気を通すことでエネルギーを消費し、その一部は熱として放出されます。コンピュータの内部にはCPUやGPU、ストレージ、ドライブなどさまざまなパーツが搭載されています。それらのパーツ同士が大量のデータをやり取りすることで電子がこすれ合い、摩擦が引き起こされ、高温の熱が発生しています。 コンピュータが正常に機能していれば、これらのパーツから発生した熱は、冷却用のファンなどを通し本体の外へ排出されるので、熱暴走を起こすほどの高温にはなりにくくなります。 しかし、冷却部分に問題が起こると十分に冷やすことができなくなり、内部に熱がたまり、熱暴走へとつながってしまいます。
長時間使用・複数アプリの起動による負荷
コンピュータはCPUやGPU、ストレージなどのメインパーツに加え、入力装置や出力装置などの周辺パーツや連結のためのパーツなど熱を持ちやすい部品が多く存在しています。長時間使用することで各パーツの温度が上昇し、本体内部全体の温度上昇につながってしまいます。 また、コンピュータにはストレージなどから読み出したデータを一時的に記録しておくメモリという部品がありますが、メモリの容量によって一度にできる作業量が決められています。
そのため、ウェブブラウザや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトなどのアプリケーションを実行する際には使用メモリが割り当てられ、使用率が高くなればなるほど、コンピュータには負荷がかかります。しかし、起動するアプリケーションを必要最低限にすることで、メモリへの負荷を低減することができます。 一般的にコンピュータの構造は、熱が発生しやすいパーツの熱を外に排出するように設計されていますが、長時間の使用や負荷の高い作業を続けると排熱が間に合わなくなることもあります。
冷却機能の問題
熱が十分に外に排出されない最大の要因として、ファンやヒートシンクに詰まったホコリや、ファン自体の故障が挙げられます。通気口にホコリが蓄積すると空気の流れが阻害され、放熱効率が大きく低下します。古いパソコンでは、ファンの回転性能が落ちたり、サーマルペーストと呼ばれる部品間の放熱材が劣化している場合があります。これらの不備を放置すると、どれほどファンを回しても熱を逃しきれません。冷却に問題があると、本来の性能が発揮されないどころか、寿命も短くなる傾向があります。
設置環境による影響
設置場所や使い方にも温度上昇のリスクがあります。熱が逃げずにその場に溜まりやすい空間や直射日光が当たる場所でIT機器を使用すると、予想以上に温度が上がってしまいます。
また、発熱する機器、パーツ同士の近接やレイアウトにも注意が必要です。スペースが狭くなると、その分空気の循環が悪くなります。結果として熱がこもってしまうため、できるだけ機器のレイアウトにも配慮し、配線パーツを整理し、空気が流れる通り道を確保することが重要です。
熱暴走を防ぐための対策
コンピュータを使用する限り熱の発生を避けることはできません。普段から熱対策を意識することで、コンピュータ機器の安定性と寿命を大きく延ばすことができます。 まずは適切な冷却環境の確保が肝心です。パソコンの内部だけでなく、設置場所の温度や空気の流れも重要なポイントになります。周囲に障害物を置かず、排気の通り道をしっかり確保するだけでも放熱効果が向上し、高温状態を防ぎやすくなります。
次に、ソフトウェア面での工夫として、負荷のかかるアプリケーションを同時に起動しすぎないように注意しましょう。こまめに不要なタブやプロセスを終了させることで、CPUやGPUの温度上昇を抑えることが期待できます。特に重い処理が多い方は、タスクマネージャーなどでどのアプリが多くのリソースを消費しているかを定期的にチェックする習慣を持つと良いでしょう。
さらに、定期的な掃除やメンテナンスも欠かせません。ファンやヒートシンクにたまったホコリをこまめに除去し、必要に応じて冷却ファンやサーマルペーストの交換を行うことで、コンピュータが適切な温度帯を維持しやすくなります。
熱暴走が起こった際にしてはいけないこと・対処法
もし熱暴走の兆候が見られた場合、適切な対処を行わないと症状が悪化し、機器に深刻なダメージを与えてしまう可能性があります。
絶対にやってはいけないのは、急激に温度を下げようとして冷却スプレーを直接吹きかけるような、水を使用して「急激に冷やす」行為です。温度差により内部に結露が発生するとショートの原因になり、状況が悪化してしまうことがあります。
熱暴走が疑われる挙動がみられた際は、一旦コンピュータの使用を中断し、電源を落として休ませることが最優先です。画面がフリーズした場合はCrtl+Alt+Deleteキーを同時に入力し、タスクマネージャーを立ち上げ使用していないアプリケーションを閉じられるか試すのがよいでしょう。コンピュータ自体が突然シャットダウンしてしまった際は、セーフモードで起動を試すのが有効です。
その後、ファンやヒートシンクなどの冷却機能を再チェックし、ホコリ詰まりや故障がないかを確認しましょう。
まとめ
コンピュータ機器は内部にたくさんの部品があり、使用する際に電気摩擦が生じるため熱が発生します。その熱をうまく排出できなかったり、冷却機能が正常に機能していなかったりすると内部に熱がたまり熱暴走を引き起こしかねません。 大事なデータを守るためにも熱暴走が発生しないようなコンピュータの使い方や日頃の手入れ、点検、万が一に備えバックアップを取るなどの対策が重要です。 冷却機能自体に劣化や破損、故障が発生している場合には、コンピュータの入れ替えや修理が必要となります。熱暴走が繰り返し生じてしまう場合は保守期間内であれば販売元やメーカーに問い合わせをするのがよいでしょう。
しかし企業では次期システムへの更改スケジュールの関係等でメーカー保守期限の切れたコンピュータを使用し続けている場合も少なくありませんが、そういったIT機器はメーカーが修理対応できない可能性があります。その際は、メーカー以外の第三者企業が提供しているEOSL延長保守サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
三和コンピュータは保守会社として設立して以来50年以上にわたり培った技術とノウハウを活かし、メーカー保守期限が終了したサーバやストレージなどの安定稼働を支援する第三者保守サービスをご提供しております。 お気軽にお問い合わせください。

第三者保守(延長保守)サービス活用ガイド
第三者保守(延長保守)の概要と、三和コンピュータのサービス内容がわかる活用ガイド冊子です。
・マンガでわかる第三者保守(延長保守)サービス
・具体的な活用シーン
・契約形態やサービスレベルの種類
など掲載中。これ1冊で三和コンピュータの第三者保守(延長保守)がわかります!